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間取り図をCADで作成する方法|初心者が知っておきたい基本知識

間取り図をCADで作成する方法|初心者が知っておきたい基本知識

間取り図を作成するとき、手書きや簡単なアプリではどうしても精度に限界があります。

「家具を置いたら動線が狭くならないか」「縮尺が正確でないとリフォームの打ち合わせに使えない」など、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

そんなときに役立つのが CAD(キャド:Computer Aided Design) です。

CADを使えば、寸法を正確に反映した間取り図を作成でき、建築業界や不動産業界でも通用するレベルの図面を作ることが可能です。

しかし初心者にとっては「操作が難しそう」「無料ソフトと有料ソフトは何が違う?」「まず何から学べばいいの?」と疑問が尽きないはず。

この記事では、プロの視点から初心者向けにCADを使った間取り図作成の基本知識をわかりやすく解説します。

CADで間取り図を作るメリット

CADを使う最大のメリットは、正確性と再現性の高さです。

方眼紙やアプリで描く場合、どうしても寸法や縮尺に誤差が生じがちですが、CADなら数値入力によって壁の長さや部屋の広さを正確に表現できます。

さらに、CADにはレイヤー機能があるため、壁・窓・家具・寸法などを層ごとに整理でき、修正や追加が容易です。3D機能を備えたソフトでは、間取り図を立体的に表示し、完成後のイメージを確認することも可能です。

不動産広告、リフォーム計画、建築確認申請など、用途を問わず活用できる点もCADならではの強みです。

CADでの間取り図作成の基本ステップ

初心者がCADを使って間取り図を作成する流れを整理すると、次のようになります。

  1. 新規プロジェクトと縮尺設定
    まずソフトを起動し、新規ファイルを作成。1/50や1/100など、建築図面で一般的な縮尺を設定します。
  2. 外枠と壁を描く
    長方形ツールや線分コマンドを使って建物の外枠を描き、内部の壁を追加します。外壁は太線、内壁は細線といったルールを決めると見やすくなります。
  3. ドア・窓・収納を配置
    多くのCADソフトには建具ライブラリがあり、ドアや窓をドラッグ&ドロップで配置できます。開閉方向を示す記号も自動で表示されるため便利です。
  4. 設備や家具を追加
    キッチン、トイレ、浴室、ベッド、ソファなどを配置。生活動線をイメージしながらレイアウトしましょう。
  5. 寸法線と注記を入れる
    壁の長さや部屋の広さを寸法線で明示し、部屋名や面積を文字で記載します。これにより誰が見ても理解できる図面になります。
  6. 保存・出力
    編集用にはdwg形式やjww形式、共有や印刷用にはpdf形式に書き出すのが一般的です。

初心者が覚えておきたいCAD操作の基礎

CADには数多くのコマンドがありますが、まず覚えるべきは基本操作です。

  • 線分・長方形・円:間取りの基本形を描くために必須。
  • レイヤー機能:外壁・内壁・家具などをレイヤー分けすることで整理しやすくなります。
  • コピー・移動・整列:家具や部屋を効率的に配置するために欠かせません。
  • ショートカットキー:効率化の鍵。たとえばAutoCADでは「L」で線分、「C」で円を描くなど、よく使う操作はキーボードで行うと作業スピードが飛躍的に上がります。
間取り図マップ編集部

これらを繰り返し練習すれば、初心者でも短期間で基本操作に慣れることができます。

無料で使えるCADソフトと有料ソフトの違い

CADソフトには無料と有料があります。特徴を整理すると以下の通りです。

  • 無料CADソフト
    代表例は「JW-CAD」「DraftSight(旧版)」「FreeCAD」など。日本国内ではJW-CADが特に普及しており、操作方法を解説した情報も豊富です。無料ながら十分な機能を備えており、学習用や個人利用には最適です。
  • 有料CADソフト
    代表例は「AutoCAD」「Vectorworks」など。高精度な図面作成が可能で、建築士や設計事務所での業務利用に広く採用されています。費用は年間数万円〜十数万円と高額ですが、業務用途や商用利用を考えるなら欠かせない存在です。

初心者がまず取り組むなら無料ソフトで十分ですが、将来的にプロレベルの図面を目指すなら有料ソフトへの移行も視野に入れましょう。

CADで間取り図を作るときの注意点

CADで図面を作る際には、次の点に注意する必要があります。

  • 縮尺や単位の設定ミスに注意
    最初に設定を間違えると、完成後の図面がすべて不正確になってしまいます。
  • レイヤーを整理する
    壁、窓、家具、寸法線などをレイヤーで分けないと、複雑になったときに編集が困難になります。
  • 建築基準法や住宅規格を意識する
    実際に施工する場合は、法令に適合しているかを確認する必要があります。
  • PCスペックを確認
    CADソフトは処理が重いため、快適に作業するにはある程度のスペックが必要です。特に3D表示を使う場合はグラフィック性能が重要です。

初心者におすすめの学習方法

CADは独学でも習得可能ですが、効率的に学ぶための方法があります。

  1. 公式チュートリアルを利用する
    AutoCADやJW-CADには公式の操作マニュアルやチュートリアル動画が用意されています。
  2. 実際の不動産チラシをトレース
    既存の間取り図をCADで模写することで、現実的な練習になります。
  3. ショートカットを覚える
    作業効率が飛躍的に向上するため、早い段階で身につけておきましょう。
  4. スクールや講座を利用する
    独学が難しいと感じたら、専門学校やオンライン講座を受講するのも有効です。

まとめ

CADを使った間取り図作成は、初心者には難しく見えるかもしれません。

しかし基本操作を習得し、縮尺やレイヤー管理を意識すれば、誰でも正確で見やすい図面を作ることができます。

無料ソフトで練習を始め、必要に応じて有料ソフトへステップアップするのが理想的な学習ルートです。

正確性と共有のしやすさに優れたCADは、不動産や建築だけでなく個人の住まい計画にも大きな力を発揮します。

まずは小さな間取り図から挑戦し、少しずつスキルを高めていきましょう。

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