間取り図を誰が作るのか?設計士と不動産会社の役割を解説

住宅購入やリフォームの検討をする際に必ず目にする「間取り図」。
不動産広告や物件情報サイトに掲載されている図面から、建築確認申請に使われる正式な図面まで、私たちの暮らしに深く関わっています。
ところが、同じ「間取り図」と呼ばれていても、その作成者や用途はさまざまです。
「正式な図面は誰が作るの?」「不動産会社のチラシにある間取り図と何が違うの?」「依頼するならどちらにお願いすべき?」と疑問に思う方も多いでしょう。
本記事では、設計士(建築士)と不動産会社、それぞれが作る間取り図の特徴と役割の違いを初心者にもわかりやすく解説します。
間取り図とは?役割と重要性
間取り図は、建物内部のレイアウトや部屋の広さ、ドアや窓の位置を示す図面です。
購入希望者にとっては物件を比較・検討するための基本情報であり、施工段階では工事の基礎資料となります。
さらにリフォームやインテリア計画でも活用され、住宅に関わるあらゆる場面で欠かせない存在です。
ただし一口に「間取り図」といっても、法的に有効な図面と広告やイメージ共有用の図面があり、作成する人物や内容が異なります。
間取り図を作るのは誰?基本的な流れ
間取り図が作成されるタイミングや目的によって、作成者は変わります。
つまり、正確性を重視するか、イメージのしやすさを重視するかで、誰が作るかが変わるのです。
設計士(建築士)が作る間取り図の特徴
設計士が作成する間取り図は、建築基準法や構造計算に基づいた正確なものです。
- 正式な設計図面
建築確認申請や施工にそのまま使用できる、いわゆる「実務に耐える図面」です。寸法や縮尺が正確で、法律に準拠している点が最大の特徴です。 - 生活動線や機能性を考慮
家族構成やライフスタイルを踏まえ、使いやすい動線を設計します。単なる部屋の配置だけでなく、窓の位置や採光、収納の量まで考慮されています。 - 法規制や安全性を反映
耐震基準、防火規制、建ぺい率・容積率なども反映されており、住宅として建てられる条件を満たす形で作られています。
つまり「建築士の作る間取り図=建物を実際に建てるために必要な公式な図面」といえます。
不動産会社が作る間取り図の特徴
一方で不動産会社が作成する間取り図は、広告や販売資料としての役割を担います。
- 簡易的でわかりやすい
専門的な寸法や法的要件よりも、購入希望者が一目でレイアウトを理解できることを重視します。 - 見栄えを意識
部屋ごとに色分けされたり、家具を配置してイメージが湧きやすいよう工夫されます。 - 誤差があることも
縮尺や寸法が厳密ではなく、実際の寸法と差がある場合があります。そのため正式な契約や施工には使えません。
つまり「不動産会社の作る間取り図=広告用・イメージ共有用」であり、正確性よりも「伝わりやすさ」を優先したものといえます。
設計士と不動産会社の役割の違い
両者の違いを整理すると次のようになります。
- 設計士
- 正確な図面を作成
- 建築基準法や構造に基づいて設計
- 建築確認申請や施工に使用可能
- 不動産会社
- 広告や販売資料用の簡易図面を作成
- 見やすさ・デザイン性を重視
- 契約や施工には不向き
このように、設計士は「建てるための図面」を、不動産会社は「売るため・見せるための図面」を担当していると考えるとわかりやすいでしょう。
間取り図を依頼するときのポイント
「どちらに依頼すべきか」は、目的によって異なります。
- 新築やリフォームの計画
→ 設計士(建築士)に依頼して正確な図面を作成してもらうのが必須です。 - 広告やチラシに掲載するだけ
→ 不動産会社が作成する簡易間取り図で十分です。 - 中古住宅を購入する場合
→ 不動産会社が用意する間取り図を参考にしつつ、リフォームや増改築を考えるなら設計士に改めて図面を依頼するのが安心です。
目的をはっきりさせないまま依頼すると、「思ったより正確ではなかった」「広告には使えるけれど申請には使えない」といったトラブルにつながるため注意が必要です。
まとめ
間取り図は住宅に関わるあらゆる場面で重要な役割を果たしますが、その作成者や用途には違いがあります。
正確性や法的効力を求めるなら設計士(建築士)、広告や販売資料としてわかりやすさを重視するなら不動産会社、と役割を切り分けることが大切です。
これから家を建てる人、中古住宅を購入する人、あるいは広告を作成する不動産関係者にとっても、「間取り図を誰が作るのか」を理解しておくことは非常に重要です。
目的に応じて適切な依頼先を選び、正確で信頼できる図面を活用することが、住まいづくりや物件購入の成功につながります。